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小説や、小説・文章についての考えを書くブログです。読んだ小説の感想も書きます。
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バレンタインデー
 遅いですが、バレンタインネタで掌編を書きました。といってもプロットが中途半端で、あまりバレンタインデーはメインじゃありません。自分でもいまいちだと感じます。練習あるのみ。



 オレの通う学校は、学用品以外は持って行けない事になっている。見つかると没収の上、説教を聞かされる。佐々木が携帯を見つかって、こっぴどくやられていた。高校生になって一月も経ってない頃だ。
 高校では初めてのバレンタインデーの朝、女子はチョコレートを持って来たようで、抜き打ちの検査がないかと不安げにささやきあっている。佐々木が席まで来て、言った。
「なあ、抜き打ち検査、あると思うか」
「あるかも知れないな」
「先生のお気に入りじゃないか、何か知らないの」
「何も」
「なら、探りを入れてこいよ」
 無性に知りたがるので、少し気になった。先方でも表情で察したらしく、こう言った。
「だってさ、もしチョコレートをもらった後で検査があると、いろいろ面倒なことになるだろう。規則にうるさい河野先生のことだから、チョコを取り上げて色々と聞くかもしれないぜ。『誰からもらったんだ』、とかな」
 佐々木が先生の声をあまり上手く真似るので笑った。有無を言わせない調子が似ている。
「そしたら、勇気を振り絞ってひっそり告白した彼女の心はズタズタさ」
「ロマンチストなんだな」
 オレはこう言って笑った。佐々木が携帯の件で、河野先生を好く思ってないことは知れていたから、それでそんなことを言ったのだろうと思った。
「笑うなよ、冗談じゃないかもしれんぜ」
 佐々木は少し失望したような、怒ったような顔になった。
 午前中は何事もなく過ぎた。昼休みにまた佐々木が来た。寮の食堂で食べていた所へ、わざわざ出向いて向かいの席で弁当を広げた。黙って食べていると佐々木が声をかける。
「検査のこと、ホントに何も知らないのか」
「知るわけないよ」
 こうまでしつこいのはわけがあると思って訊いた。
「チョコ、貰ったんだろう」
「まさか。そんなわけないだろ」
 あわてて否定するのでおかしかった。佐々木はサッカー部で体はがっしりしているのに、気持ちはぐらつきやすい事は最近になって分かった。
「いいよ、いいよ。大丈夫だって、やるならとっくにしてるさ。それに河野先生はそんな野暮じゃないよ」
「どうだか。河野は御贔屓の先生だからな、どこがいいんだか」
「尊敬してるんだよ、いい先生だぜ」
「むやみに厳しいだけじゃないか。しかし、午後が無事にすむといいな」
「心配なら女子に隠し場所を聞いたらどうだ」
「女子に聞くのはちょっとな」
「男子と女子って、あまり交流ないよな」
 後は話題がそれた。
 授業が全て終わり、終礼のために河野先生が来た。頑丈な体つきで、もう五十近いが動作はきびきびしている。オレの机の前を通って、佐々木の席に差し掛かった時、佐々木が鞄を取り落とした。教科書に紛れて、綺麗に包装された小箱が出た。
 オレと佐々木とははっとして先生を伺う。つと足をとめて、「鞄が落ちたぞ」とおっしゃった。黙許だった。佐々木は素早く小箱をなおして、不思議そうに先生を見た。
 オレは先生のこういう所が好きなのだ。
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Comment
≪この記事へのコメント≫
sono325式▲お小遣いガイダンス▼の相互リンク有難う!
私もこういう先生好きだなぁ~
2008/02/28(木) 22:16:56 | URL | sono325 #-[ 編集]
どういたしまして
>sono325さん
どういたしまして。小説を読んでくれたばかりか、コメントまで下さってありがとうございます。
2008/02/28(木) 23:36:42 | URL | オウセキ@管理人 #o5C.ZkTQ[ 編集]
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